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滋賀医科大学医学部医学科福祉保健医学講座 教授 上島弘嗣 研究協力者:慶應義塾大学衛生学公衆衛生学 武林 亨、滋賀医科大学福祉保健医学講座 岡村智教 |
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米飯を食する習慣の多い人は、エネルギー摂取が炭水化物から多くなり、逆に、脂肪からのものが少なくなる。このことから、血清脂質、とりわけ、血清総コレステロール値は低くなることが予測される。事実、厚生省の循環器疾患基礎調査、国民栄養調査成績を用いて、われわれは、昨年度の研究によりこのことを示した。 |
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対象は、「厚生科学研究 青・壮年者を対象とした生活習慣病予防のための長期介入研究(研究代表者 上島弘嗣)」のベースライン調査に参加した12事業所に勤務する男性・女性労働者である。研究全体では、20歳前後から60歳前半までの労働者を対象とするが、本報告では40歳から59歳までの3,146名(男性2,538名と女性608名)を対象とした。これは、労働安全衛生法によって、定期健康診断時に血液検査の実施が義務づけられているのが40歳以上であることによる。その分布を表1に示した。 |
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性、年齢別に見た、毎食ごとの米飯摂取頻度の分布を表2に示した。昼食では、男性の55%、女性の68%が毎日米飯を摂取し、夕食では、男性の70%、女性の78%が毎日米飯を摂取していた。 |
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昨年度実施した平成7年度国民栄養調査のデータ、すなわち一般住民データを用いた解析の結果(1)に続き、職域データを用いた解析でも、米飯の摂取が増えると血清総コレステロール値が低下していた。このことは、とくに女性で明らかであり、年齢、BMIなどを考慮しても、米飯一日1回未満群と一日3回群では18mg/dl、米飯一日1膳未満群と一日3膳群では14mg/dlの差であった。米飯一日1回未満群のn数は小さいのでこの群を除外して解析を行った場合でも、米飯一日1回群と一日3回群との間にはおよそ10mg/dlの差があった(data not shown)。 |
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「青・壮年を対象とした生活習慣病予防のための長期介入研究」のベースライン調査に参加した40歳から59歳までの労働者3,146名(男性2,538名と女性608名)を対象として、米飯摂取と血清総コレステロール、血糖、肥満度との関係を、測定値の精度管理が行われている信頼性の高いデータを用いて検討した。その結果、女性では、年齢、肥満度などの因子を調整しても、米飯の摂取頻度が高いあるいは摂取量が多い群ほど、血清総コレステロール値が低かった。また、男性では、同じ程度の米飯摂取習慣であっても、大豆類(豆腐類)の摂取頻度が高い者の方が血清総コレステロール値が低い傾向にあった。 |
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データ解析及び文献収集ではピッツバーグ大学の関川暁先生、山梨医科大学の王培玉先生に大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。 |
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1) | 上島弘嗣、岡村智教、喜多義邦ほか。米飯を食する習慣と血清脂質値との関連に関する疫学研究。平成12年度ごはん食基礎データ蓄積事業報告書、2001年。 |
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2) | Anonymous Report of the Working Group on Arteriosclerosis of the National Heart, Lung, and Blood Institute, Arteriosclerosis 1981, vol 2, US Department of HHS, PHS, NIH. |
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3) | 斎藤衛郎、高橋敦彦、武林亨。高コレステロール血症の改善、虚血性心疾患および糖尿病予防のための食物繊維の適正摂取量。J Jpn Soc Nutr Food Sci 2000;53:87-94. |
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4) | Ripsin CM, Keenan JM, Jacobs DR Jr, et al. Oat products and lipid lowering. A meta-analysis. J Am Med Assoc 1992;267:3317-25. |
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制作 全国米穀協会 (National Rice Association)
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