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勇心酒造株式会社 代表取締役 徳山 孝 |
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米は、日本人の主食であり、また古くから先人の知恵の結晶として、麹、味噌、味醂、清酒、酢等に利用されてきた。しかし、近代科学が導入されて以降、新しい用途開発、素材開発は全くなされていない。また、一人当たりの米消費量は毎年減少傾向にある一方、生産は過剰基調で推移しており、米の新規用途を創出することは急務となっている。 |
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(1)米を原料とする抗酸化性飲食品素材の製造技術の開発 | |||||||
素材の製法においては、うるち米、もち米における効果の差、原料米の使用部位の違いによる効果の差(米の胚芽部分を含む玄米と、胚芽、赤糠を取り除いた白米における効果の違い)について検討を行った。また使用する麹カビは清酒、味噌、醤油などの発酵食品に使用されているAspergillus.oryzae を用いた。 |
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(2)米を原料とする抗酸化性飲食品素材の活性酸素産生に及ぼす影響 |
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体重350gのWister系雄性ラットの頸動脈より、EDTA含有polypropylenetube採血し、全血からpercoll密度勾配遠心法により好中球を85%以上の純度で精製した。精製した好中球を米抽出物とウミホタルのルシフェリン誘導体であるMCLA0.4 |
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(3)米を原料とする抗酸化性飲食品素材の活性酸素消去系に及ぼす影響 |
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4週齢のddy系雄性マウスを、室温25℃、湿度60%に保たれた動物室で1週間、飼料及び水を自由摂取させて飼育した後、実験に供した。1群10匹で行った。米抽出物は、一日一回午前10時に一群当たり20mLを給水瓶に入れ、自由摂取させた。投与4週間後に体重を測定し、エーテル麻酔下頸動脈より全血採取し定量操作に必要な処理をした後、血清中の還元型グルタチオン濃度、過酸化脂質量及びSOD活性を測定した。還元型グルタチオン濃度、SOD活性はSRLに分析を依頼し、過酸化脂質量は、TBA法により定量した。 |
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(1)米を原料とする抗酸化性飲食品素材の活性酸素産生に及ぼす影響 | |
ラットの血中から好中球を精製し、米抽出物の活性酸素産生に及ぼす影響についてコントロールと比較した。 MCLA依存性の化学発光はfMLP添加直後より増大し、約15秒後に最大になった。玄米(うるち米)抽出物、玄米(もち米)抽出物、白米(うるち米)抽出物を各々0.5ml/5ml添加すると、いずれもfMLPによるMCLA依存性の化学発光をコントロールと比較して著明に抑制した。原料及び使用部位による効果の違いに有意な差は認められなかった(図1)。 |
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(2)米を原料とする抗酸性飲食品素材の活性酸素消去系に及ぼす影響 |
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マウスに各米抽出物を4週間自由投与したところ、投与期間中に異常はみられず、投与終了後体重変化を確認した結果、体重変動には有意な影響を及ぼさなかった。 |
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米抽出物はラット好中球におけるfMLPによるMCLA依存性の化学発光を抑制した。このことから、本素材はsuperoxide anion産生に対して抑制効果をもつことが明らかとなった。また米抽出物を、マウスに4週間自由投与すると、血中においてSOD活性上昇、還元型グルタチオン増加、過酸化脂質減少効果が認められた。このことから、米抽出物は生体内において発生した活性酸素を消去する効果をもつことが判明した。還元型グルタチオンはグルタチオンペルオキシターゼと協力して過酸化水素や過酸化脂質を消去する働きを持っている。従って米抽出物はSOD活性を上昇させ、還元型グルタチオンを増加させた結果、過酸化脂質を減少させるものと考えられた。なお、投与期間中マウスに異常はみられず、また体重変動にも影響を及ぼさなかったことから、副作用、肥満や食欲減退などがないことも確認された。 |
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米のもつ潜在的な効能・効果を、従来発酵食品に使用されてきた複数の微生物との反応抽出・発酵により創出し、生体内において抗酸化効果を発揮する飲食品用素材の開発を行った。 |
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特になし。 |
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制作 全国米穀協会 (National Rice Association)
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