朝食にごはんを食べることは、メタボリックシンドロームの予防につながる!?

一般社団法人久山生活習慣病研究所副代表理事
九州大学大学院医学研究院環境医学分野教授 清原 裕 先生

 
データ解説
図:メタボリックシンドローム発症の相対危険
 2002年の久山町の循環器健診を受診した40歳以上の住民のうち、既発症者等を除いた2,003名を7年間追跡し、追跡中に健診を受診しなかった対象者を除き、最終的に1,824名(男性802名、女性1,022名、追跡率91.1%)を解析しました。
 追跡期間内にメタボリックシンドローム(MetS)発症者は、563名(男性249名、女性314名)でした。
 7年間の追跡調査において、主食の摂取パタンとMetSの発症リスクとの関連を検討すると、集団全体では、3食米型に比べ朝食欠食型の群では、 MetSの相対危険が上昇する傾向が認められました。男女別にみると、女性では関連を認めなかったのですが、男性では3食米型に比べ朝食欠食型で、MetSの発症リスクが有意に増加しました(相対危険1.61、95%信頼区間1.05-2.48、P=0.03)。
※:MetSの定義には2009年の米国心臓協会および国立心肺血液研究所(AHA/NHLBI)の診断基準を用いた。すなわち、@腹囲径:男性90cm以上、女性80cm以上、A血圧:収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上または降圧薬服用、B血糖:空腹時血糖値100mg/dl以上、C中性脂肪150mg/dl以上、DHDLコレステロール:男性40mg/dl未満、女性50mg/dl未満の5項目のうち、3項目を満たす場合にMetSと診断した。
 
先生からのワンポイントアドバイス
 近年のわが国における主食の多様化と食習慣の変化は、栄養素の摂取量全体に影響を及ぼし、生活習慣病の発症リスクに関連している可能性があります。そこで、本研究では久山町の追跡調査の成績をもとに、主食の摂取パタンが生活習慣病の発症リスクに与える影響を検討しました。
 主食の摂取パタンは、「3食米型」、「1食パン型」、「1食麺型」、「朝食欠食型」、「主食の定まらない型」の5分類とし、3食米型に比べ、朝食欠食型でMetSの発症リスクが特に男性において有意に増加することを見出しました。
  現代人は、多忙であり、朝食を食べない食習慣をもつ人も増加していますが、朝食を食べない食習慣を改め、朝に白米を摂取することは、MetSの発症予防につながることが示唆されました。