一般にエネルギー量、たんぱく質、ビタミンなどの栄養素摂取量に過不足が生じると、人間の身体にさまざまな変化がおきてきます。たとえば、特定の栄養素が不足すると、身長や体重の増加が抑制され、そのぶん身体の諸活動や機能を維持しようとする力が働きます。しかし、過度の栄養素摂取不足がおこると、体の抵抗力が減少し、もはや身体を維持できなくなってしますのです。その結果、いろいろな病気にかかりやすくなり、栄養障害で死亡することさえあります。とくに乳幼児の場合は、栄養不良による乳児下痢症や感染症がもとで死亡することが多く、成長期にある子供などは、身長が伸びなかったり体重減少が観察されます。また、妊婦の栄養状態が悪いと難産や死産の頻度が高くなります。
栄養状態が悪いと骨の異常として残る場合もあり、これをハリス線とよんでいます。縄文時代のある人の骨に、何本もこのハリス線がみうけられることから、当時の人々の栄養状態が一生のうちに幾度も変動したことがうかがえます。