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10-3 これであなたもすし博士!「日本のすし今・昔」
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< いずし >
金沢のかぶらずしや秋田のはたはたずしなど。魚(いお)ずしの転訛。なれずしとは別の系統。塩魚と根菜と飯と麹と塩。飯と麹は漬け床。自然(乳酸)発酵。魚、根菜、飯を食べる。なれずしでは使われない麹を使うことによって発酵が早くなる。飛騨地方では油揚げやスルメイカなども使う。朝鮮半島経由のすしであろうか。 |
< かぶら漬け/にしん漬け >
塩鰤や身欠きにしんと根菜を麹と飯で漬ける。いずしから漬物へと移行。鮭、ハタハタ、ホッケなども使う。 |
< なれずし > 弥生時代から出現
滋賀県のふなずしで代表される。塩鮒と飯と塩。飯は魚の漬け床。自然(乳酸)発酵。魚だけを食べる。小ブナで3か月、大きなフナで1年はかかる。3年、5年という古漬けを尊ぶ。この場合は床を変える。甘露漬けはふなずしをみりん粕に漬けなおしたもの。 |
< 粟漬け >
米の代わりに粟を使う。韓国では粟と酵母でハタハタに似た魚を使う。シッケ。こはだの粟漬け。現在は酢漬けにする。 |
< 生なれ(半なれ) > 室町時代から出現
紀北のさばのくされずし、熊野のあゆずしなど。開いた塩魚に塩味をつけた飯を詰めて2週間〜1か月間漬ける。なれずし同様、飯の自然発酵だが、完熟する前に食べる。魚の生ぐさみが少々残る。魚も飯も食べるところから飯ずしともいう。筍、ナスなども用いられた。 |
< 浅なれ > 江戸時代・初期から出現
鹿児島の酒ずしはこの系統に入る。塩魚と野菜と飯。飯に酒をふりかける。現在は、発酵させないで、作ってから5〜6時間で食べる。昔は、5〜15日かけて自然発酵させてから食べた。釣瓶ずしで有名な奈良県吉野の〈弥助〉では5〜6日でならしたあゆずしを浅なれと呼んでいた。 |
< 早ずし > 元禄の頃から出現
酢と塩で飯に味付けをし、飯の発酵をまたずに食べる。味付けした魚介類、野菜、乾物と酢飯。酢飯が主役。数時間ないしは1夜(あるいは半日)ぐらいおくのを当座ずしと呼ぶ。1〜2日おく場合もある。 |
< 即席ずし > 文政の頃から出現
現在の握りずしや手巻きずしなどのように、出来たてを食べる。 |
●丸ずし・姿ずし・棒ずし
京都のさばずし、大阪の小鯛ずし、奈良県吉野や岐阜県のあゆずしなどに代表される。開いた塩魚に酢飯を詰めて、すし桶(すし箱)に入れ、重しをして、1〜2日おく。3〜4日おくこともある。 |
●握りずし(づけ)
文政のころに発明されたという、初期の握りずし。しょう油や酢で味付けした魚介類や卵焼きをたねに酢飯を握る。酢飯が主役。2時間ぐらいおいても味が変わらず、酢飯の味も倍増。 |
●こけらずし
大阪ずしなど。酢飯を箱に入れ、そいだ魚介類の身や野菜類(いずれも味付け済み)を、屋根の瓦を葺くように張り付け、押しぶたをして、重しをする。 |
●卯の花ずし
酢飯の代わりに卯の花(おから)に酢で味を付け、魚に詰めて押す。 |
●蒸しずし
具を混ぜた酢飯を丼茶碗に入れ、錦糸卵を散らし、ゆでたエビ、厚焼き卵、おぼろ、甘煮にしたシイタケ、銀杏などを上置きして蒸す。 |
●切りずし
長崎の大村ずしや金沢のおにえずしなど。酢飯と味付けした具を重ね合わせて、箱で押し、切って盛りつける。 |
●ばらずし
起こしずしを簡略化したもので、酢飯に具を混ぜて器に盛り、上置きする。それをさらに高級化したのがすし屋の散らしずし。 |
●かわり巻き
サバや鮭をはさんだ磯巻き、海苔を酢飯の中に巻き込んだ内巻き、具を酢飯だけで巻いた白巻き、チーズやハム、ローストビーフなどを具にした巻きずし、海苔を中にした裏巻きやサラダ巻きなどもある。 |
●巻きずし
海苔や昆布で味付けした野菜や乾物を酢飯といっしょに巻く。海苔巻き、昆布巻きなど。 |
●当座ずし
笹巻きずし、柿の葉ずしなど。酢に漬けた魚介類をそぎ切りにし、小さく握った酢飯にのせ、笹の葉や柿の葉で仕切りをしてすし箱に並べ、落としぶたをし、重しをのせて半日置く。1〜2日おくこともある。 |
●握りずし
魚介の刺し身や卵焼き、ウニ、イクラなどをたねに酢飯を握り、しょう油をつけて食べる。 |
●印ろうずし
いなりずしで代表される。味付けした油揚げ、こんにゃく、筍で袋を作り、その中に酢飯を詰める。 |
●卯の花あえ
酢じめの魚(生ずし)を酢で味けした卯の花であえる。酢の物へ移行。 |
●茶巾ずし
ばらずしを薄焼き卵で包む。包み方によってはふくさずしともいう。 |
●起こしずし
すし箱に酢飯と味付けした具を重ねて、あるいは混ぜて入れ、落としぶたをし、重しをする。食べるときに、それを掘り起こしてほぐす。現在では、この実例は少ない。 |
●精進の握りずし
味付けした油揚げ、こんにゃく、筍、シイタケをたねにした握りずし。 |
●カリフォルニア巻き
日本の巻きずしがアメリカに渡って変容したもの。日本では思いもよらない、アボカド、レタスの葉、焼いた鮭の皮など、自由自在に具を巻く、手巻きずしの一種。 |
●細工ずし
いろいろと材料をこぎれいにならべて、見た目にも美しい、かわりずし。 |
●異国ずし
イタリアではバルサミコ酢で味をつけ、ネタを握りオリーブ油をかけて食べる。スプーンにのって出てくることもある。酢飯はイタリア産のあきたこまちや在来種とコシヒカリをかけた米も使われている。 |
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