お米・ごはんBOOK 一般向け

はじめに
  私たちの体は、毎日食べている食べ物でつくられています。これだけを食べれば、人にとって必要な栄養が充分にとれて、健康が保たれるという食べ物はありません。健康のためには、いろいろな食べ物を組み合わせて食べることが必要になります。
   食べ物には、それぞれ個性があり、形ばかりでなく、含まれる栄養も、味わいも異なります。こうした様々な個性をもつ食べ物を調理して、うまく組み合わせるためには、つなぎ役、リード役としての食べ物が必要になります。日本人は、この役割を果たす食べ物として、栄養的にはエネルギー源となる炭水化物と体をつくるたんぱく質を含み、味わいの面では、どの食べ物、どんな料理とも協調できる淡泊な味の「米・ごはん」を選びました。
もちろん、こうした選択ができたのは、米が日本に伝来して以来、水田稲作に従事した人びとが多くの知恵を出し合い、イネの栽培技術の進歩を促して、日本各地に稲作が根付いたことや様々な調理方法・器具や食べ方の工夫等によって、多彩な食を受け継いできたからです。
  日本人の食生活にはなくてはならない米。本小冊子では、この主食としての米が作られ、家庭に届けられて、ごはんとなり、食事として食べられる、そして、そのごはん食の歴史をさかのぼるという構成を中心に、現在の米をめぐる関連事項をまとめています。
  ご一読いただき、改めて米・ごはんのよさを見直していただきたいと存じます。

ご監修いただいた先生方:

・新潟薬科大学応用生命科学部特任教授 大坪研一
・ 伝承料理研究家
   元大阪市立大学大学院生活科学研究科科非常勤講師 奥村彪生
・ 高知大学名誉教授 針谷順子