テーマ:「子どもの肥満予防のための運動とごはん食」

京都大学大学院人間・環境学研究科教授 森谷敏夫先生

子どもの肥満が増えている

 最近問題になっている子どもの肥満は、将来生活習慣病にかかりやすくなる危険をはらんでいます。子どもの肥満が増えている原因は、食生活の変化だと思います。私たちは従来、炭水化物を主体に食べていましたが、最近は揚げ物やフライ物、あるいは高脂肪食といったものをたくさん食べています。こういった脂肪食というのは、同じエネルギーをとっていても炭水化物食と比べて身体で消費しにくく、その分、身体に脂肪としてつきやすい食べ物なのです。
 さらに考えられるのが、運動不足です。また、最近の学説では、自律神経の機能が低下してきている子どもたちが非常に多いのです。

自律神経:心拍、血圧、体温、食欲などを自動的に調節する神経

自律神経と肥満の関係

 私たちの体重や体脂肪の量、これを調節しているのは実は自律神経という神経なのです。自律神経には交感神経というのがあります。交感神経は、脂肪を燃焼させるときに働きます。下図でわかるように太っている方は、この交感神経の活動が非常に低く、脂肪が燃やしにくいということになります。逆に太っていない方は、自律神経、特に交感神経の活動が非常に活発に動いています。
 つまり、太っている人は自律神経の活動が低下しているので脂肪を燃焼しにくく、身体に脂肪を蓄えてしまうことになるのです。

肥満者は自律神経の活動が鈍い

交感神経:心拍・呼吸を増加させ活動レベルを高める神経

自律神経を活発にするごはん食

  肥満を予防するためにも自律神経を活発にするには、まずは規則正しい生活をすることが大切です。早寝、早起き、あとは運動です。10分でも20分でもかまいませんから歩幅を大きく、ぐいぐい歩きます。
 また、食事で気をつけることは、ごはんをしっかり食べて、脂肪を少なくするということです。特にカレーライスなどのように香辛料が入っている食べ物というのは自律神経を高めますので、脂肪を燃焼しやすくしてくれます。もっとごはんをしっかり食べましょう。