テーマ:「炭水化物の重要性とごはん食」

神奈川県立保健福祉大学学長 中村丁次先生

炭水化物の働き

 よく若い女性に、太ることを気にしてごはんを食べないという人がいるようですが、ごはんに含まれる炭水化物にはとても重要な働きがあります。炭水化物は、体内に吸収されるとブドウ糖という糖に分解され、脳や筋肉などのエネルギー源として利用されます。特に脳はブドウ糖を主たるエネルギー源とします。脳の活動を維持するためには多量のブドウ糖が必要になります。ブドウ糖が不足すると、脳の働きが鈍くなったり集中力が低下します。また、炭水化物が不足すると、スタミナ切れを起こしたり、疲れやすくなるのです。炭水化物は、私たちの活動源として欠かせない栄養素です。毎日の食事できちんと適量を摂るようにしましょう。

炭水化物は1日にどのくらい摂ったらよいか

 体内のエネルギー代謝を正常にするためには、最低でも1日に100~150gの炭水化物が必要です。ごはんに換算すると、ごはん茶碗約2杯です。しかし、あくまでも必要な最低量なので、普通に生活している人は、1日にお茶碗3~4杯分は摂るようにしましょう。体内に貯めることができる炭水化物の量はわずかですので、1日の食事で常に適量を摂る必要があります。

ごはんで炭水化物をきちんと摂る

 炭水化物を効果的に摂るには、ごはんが適しています。ごはんの主成分である炭水化物は優先的にエネルギー源として使われるからです。また、ごはんはゆっくり消化・吸収されます。従って、食後の血糖値の上昇も穏やかで、インスリンの分泌も少なく、結果的に体脂肪になりにくいのです。ごはんは腹持ちもよい食品なので、食べ過ぎや間食を防ぎ、肥満予防にもなります。私たち日本人の多くは、主食のごはんで炭水化物を摂り、健康を維持してきました。このような食事をこれからも続けることが大切です。