テーマ:「食文化からみた健康ごはん食 I」

伝承料理研究家
大阪市立大学生活科学科非常勤講師 奥村彪生先生

日本の食文化にはごはんが必要不可欠

 当たり前のことですが、まず、食文化の基本は食材づくりにあります。そして、食材がないと料理はできません。
 日本の気候風土は、実は、米をつくるのに一番適した風土なのです。そして日本人の嗜好にも一番米が合っているのです。そのため、いかにおいしい米を作るか、そして、それをいかにおいしく炊くかということに日本人は命をかけてきたのです。
 昔は、料理をするところを炊事場と呼びました。それは、いかにごはんをおいしく炊くことが大切であったかということを物語っています。その点から考えていくと、やはり日本の食文化の基本になっているのが米、いわゆるごはんが必要不可欠なものだということがいえます。

日本の献立の基本は一汁一菜?

 一汁一菜とは、主なるごはんがあって、それに添えるおかずとして、汁が一つ、菜(料理)が一つという意味です。これに漬物がつきました。実は、昔のおつゆもの、みそ汁は、ずいぶんいろいろなものが入っていて具だくさんだったので料理は一点だけでもよかったのです。
 しかし、最近のみそ汁の具は、ずいぶんと少なくなりました。ですから家庭料理であれば一汁二菜、一汁三菜が理想です。一汁一菜同様に漬物がつきます。

献立

季節の移ろいを友とする日本の文化

 日本の文化の特徴は、四季の移ろいを友とすることです。それは料理にも同じことがいえます。ごはんに組み合わせるおかずは、旬のもの、いわゆる時節物(じせつもの)と季節を問わない時不知(ときしらず)の食材を組み合わせるのがよいでしょう。そして、我が家の菜時記(さいじき)をつくってみてはいかがでしょうか?