テーマ:「心血管病の予防とごはん食の役割」

帝京大学臨床研究センター センター長 寺本民生先生

心血管病と肥満度の上昇

 心血管病は、文字通り血管の病気で、場合によっては死に関わるような、心筋梗塞とか脳梗塞というような動脈硬化に関連する病気です。
 最近、日本では、この心血管病が増加する傾向にありますが、その要因の一つとして、動物性脂肪の摂取量が増え、そのためにコレステロール値も上がってきていることが関係していると考えられます。したがって、脂肪のとりすぎには注意が必要です。
 また、ごはんの摂取量が減ってくるとともに、肥満度が上がってきていることも心配です。日本食離れが肥満に関係し、肥満が心血管病に関係していると考えられます。

 

摂取栄養と肥満度の変遷


肥満と心血管病の関係

 肥満の中でも、お腹の周りに脂肪のつくタイプの肥満を腹部肥満(内臓脂肪型肥満)といっていますが、このタイプの肥満は、非常に問題で、腹部に脂肪があることに加えて、高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあると、動脈硬化を起こしやすく、このことをメタボリックシンドロームと呼んでいます。
 お腹の周りについている脂肪が多くなっているかどうかの目安が、男性でいうとお腹の周りが85cm以上、女性でいうと90cm以上です。このお腹の周りが、85cm以上になっている男性が、だいたい2人に1人くらいと言われています。
 食生活の変化による脂肪のとり過ぎ、そして、肥満、特におなかにつく脂肪の増加、このつながりを断つということが大切です。

 

心血管病を予防する食事とは?

 心血管病を予防する食事とは、ごはんを中心とした日本食をおすすめします。ごはん食は、ごはんに魚、そして味噌汁というように、脂肪と非常に遠い食事形態です。心血管病の予防のためにも、このような食文化を大切にする必要があると思います。