テーマ:「ごはん食で肥満を予防」

公益財団法人 結核予防会新山手病院生活習慣病センター長 宮崎滋先生

健康障害のある肥満とは

 肥満度を示すBMI〔Body Mass Index=体重(Kg) ÷身長(m) ÷身長(m)〕が25以上になりますと肥満と判定されますが、肥満にも単に体重が多いだけではなくて、健康障害を伴う肥満と、それらを伴わない肥満があります。健康障害が伴うか、あるいは内臓脂肪型肥満である場合には、肥満症と診断するわけです。
 お腹の中に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満
は、肥満の程度が軽くても健康上問題が起こりやすい肥満症です。ウエストの周りを計って男性で85cm以上、女性で90cm以上あれば内臓脂肪型肥満の一つの目安となります。これを超えている人については、CTで確認します。

肥満症診断のフローチャート

内臓脂肪型肥満の危険性

 内臓に脂肪がたまっていることに加えて、①血糖がやや高い、②中性脂肪がやや高い、あるいは、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールが低い、③血圧がやや高い、この3つの項目のうち2つ以上があれば、メタボリックシンドロームと診断します。

メタボリック・シンドロームの診断基準

 

メタボリックシンドロームのある人は、ない人に比べて、自覚症状はなくても、動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞、脳梗塞など重篤な疾患を起こしやすいことが知られています。
 メタボリックシンドロームは、太っていることよりも、内臓脂肪がたまることが、病気を悪化させますから、内臓脂肪がたまらないように生活習慣、特に、食べ過ぎ、運動不足に注意する必要があります。そして、肥満している人は、現在の体重の3~5%を3ヶ月から6ヶ月の間に減らすことが一つの目安となります。

肥満にならない食事とは?

 摂取エネルギーをおさえる。すなわち、食べ過ぎないことが重要です。ごはんの良さとして、まず、ごはん自体のエネルギーが低いこと。それから、魚とか野菜などの低エネルギーの食べ物と組み合わせやすく、バランスのよい献立ができることがあげられます。さらに脂質が少なくて、植物性のたんぱくを確保できることに大変意義があります。つまり食事は、ごはん食を基本にして、食べ過ぎを防ぐことが大切です。