テーマ:「生活習慣病予防におけるごはん食の利点」

聖マリアンナ医科大学病院栄養部部長 川島由起子先生

日本人の食生活の変化

 最近、食生活の欧米化に加え、生活スタイルの多様化が進み、その結果、肥満、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が増えてきています。日本人の食生活の変化を毎年行われている国民健康・栄養調査からみてみると、栄養素の摂取状況は、平均的にはほぼ良好な状態にあるとされていますが、その内容を見ると問題は少なくありません。
 まず、エネルギー摂取量は昭和50年頃の2,200kcalをピークに緩やかに減少してきていますが、脂質、特に動物性脂質は増加を続け、減少してきたのはここ数年です。つまり、摂取エネルギーは減ってきているのに、動物性の脂質は増えている状態です。

エネルギー摂取量と動物性脂質摂取量の推移

 その反面、お米などの炭水化物は調査が始まった当初より減少を続けています。この脂質の量的な増加と質的な変化、加えて炭水化物の減少という栄養素のバランスの乱れがこれら生活習慣病に深く関係していると考えられています。

 
炭水化物摂取量の推移

生活習慣病を予防する食生活

 生活習慣病の予防には、食生活のバランスの乱れを調整することが必要です。
 そのためには、肉、卵、乳製品に油脂類を使ったおかずを中心とした欧米型の食生活ではなく、日本人が昔から培ってきたごはんを主食に、魚類や大豆製品、野菜、海藻類を組み合わせた日本型の食生活を基本にすることです。
 その他、朝食を抜かずにきちんと食べる、夕食も決まった時刻に食べる習慣をつけるという規則正しい食生活も大切です。
 主食にごはんがよいのは、ごはんには難消化性でんぷんが含まれる上、腹持ちがよいことや、どんな料理や味付けにもあうという利点があり、低エネルギー食の調整もしやすい点です。
 主食、主菜、副菜という組み合わせはわかりやすく、また各栄養素もきちんととれやすいということがよい点です。
 日本人が昔から培ってきたごはんを主食に、魚や野菜などを組み合わせる食事が生活習慣病の予防には大切です。