テーマ:「日本人に肥満が増加!? 」

東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授 門脇孝先生

肥満と遺伝子の関係

 最近肥満で悩む人が増えています。肥満の原因の一つとして人間の遺伝子が大きく関係しています。肥満と深くかかわっている遺伝子は倹約遺伝子といいます。
    倹約遺伝子・・・
    食べたものをできるだけ脂肪として蓄積する遺伝子
     人類の歴史の大部分は飢餓の状態が続く歴史でした。飢餓の時代には一度食べ物を食べると、何日も何週間も食べられない日が続きました。そうした状況が続いたため、身体はできるだけ、食べたものを脂肪として蓄積しておくようにし、そうすることが生存に有利だったのです。倹約遺伝子は飢餓の時代はとてもよい体質だったのです。
    ところが、現在のような飽食、運動不足の時代では、かえって肥満を助長してしまいます。肥満の原因になっているのが倹約遺伝子なのです。

    日本人と倹約遺伝子

     日本人はもともと倹約遺伝子を多く持っていることが知られています。30~40年前のような和食中心の時代には倹約遺伝子を持っていても肥満になりませんでした。しかし、今は倹約遺伝子を持っているにもかかわらず、欧米型の生活習慣、高脂肪食を取り入れて、その結果肥満が非常に増えているのです。そのようなことから、糖尿病をはじめとする生活習慣病が増えているといえます。

    倹約遺伝子は、現代社会では肥満の原因に

    肥満予防にはお米を中心に

     倹約遺伝子を多く持っている日本人は、高脂肪食のような欧米型の食事をできるだけ避け、お米を中心とする炭水化物をしっかりとり、倹約遺伝子を持っていても太らないような生活習慣上の工夫をして健康的な生活をしましょう。