テーマ:「中高年の健康のための運動と食事」
慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授 勝川史憲先生
10分以上続けて行うような生活活動で、上記の強度に相当するものとしては、歩行や自転車などがあります。時速4キロ、という日本人の体格からするとやや早めの歩行速度が、上記の安静時のちょうど3倍の強度です。こうしたやや早めの歩行で毎日合計1時間、約6000歩を歩くと、1週間で21エクササイズとなります。また通勤で自転車を使うときの運動強度は、上記の安静時の4倍程度ですので、往復1時間の自転車通勤を週5日行なうと20エクササイズとなります。最近の歩数計やスマートホンのアプリは、運動強度別に運動量を表示するものがあり、歩行や自転車の運動量をモニターするのに役立ちます。
上記の23エクササイズのうち4エクササイズは運動で消費すること、という条件がありますので、こうした歩行や自転車通勤に少量のスポーツ活動などを追加すれば、目標が達成されるわけです。さらに、高齢になってからの転倒等のリスクを減らすために、有酸素運動に加えて、筋トレや柔軟運動も行なうとよいでしょう。
なお、心筋梗塞や脳卒中を過去に患ったことがある方、糖尿病、心臓や肺の病気を現在お持ちの方、あるいは、動くと胸が痛くなるといった自覚症状がある方は、始められる前に医師に相談されることをおすすめします。
一方では、メタボリックシンドロームを心配するあまり、肉などの摂取を減らす誤った食事制限で低栄養となるケースも、高齢者では心配されています。
脂身の少ない赤身肉など、余分なエネルギー量をカットしつつ、きちんとたんぱく質やミネラルを摂取できるおかずに、十分な量のごはんを組み合わせた食事は、生活習慣病の予防にも高齢者の低栄養の予防にも役立ちます。十分な運動量を確保したうえで、ごはんとおかずのバランスが良い食事を十分量摂取することが健康的な食生活といえるでしょう。
健康のための運動
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の原因として、運動不足や肥満がいわれています。運動は、減量の重要な手段のひとつですが、減量とは別に、さまざまな健康上の効用をもたらします。
日常の生活の中でも活動量を増やしていく
病気の予防や健康維持のための運動の指針として、厚生労働省の「健康づくりのための運動指針2006」があります。運動と日常の生活活動をあわせて1週間に23エクササイズを行う、というものです。ここでエクササイズとは、体重1キロあたり1.05 kcalのエネルギーを消費する、という運動量の単位です。安静で座っている状態の運動強度を1とすると、その3倍以上の強度の運動や生活活動で、1週間に23エクササイズ分を消費しよう、ということです。10分以上続けて行うような生活活動で、上記の強度に相当するものとしては、歩行や自転車などがあります。時速4キロ、という日本人の体格からするとやや早めの歩行速度が、上記の安静時のちょうど3倍の強度です。こうしたやや早めの歩行で毎日合計1時間、約6000歩を歩くと、1週間で21エクササイズとなります。また通勤で自転車を使うときの運動強度は、上記の安静時の4倍程度ですので、往復1時間の自転車通勤を週5日行なうと20エクササイズとなります。最近の歩数計やスマートホンのアプリは、運動強度別に運動量を表示するものがあり、歩行や自転車の運動量をモニターするのに役立ちます。
上記の23エクササイズのうち4エクササイズは運動で消費すること、という条件がありますので、こうした歩行や自転車通勤に少量のスポーツ活動などを追加すれば、目標が達成されるわけです。さらに、高齢になってからの転倒等のリスクを減らすために、有酸素運動に加えて、筋トレや柔軟運動も行なうとよいでしょう。
なお、心筋梗塞や脳卒中を過去に患ったことがある方、糖尿病、心臓や肺の病気を現在お持ちの方、あるいは、動くと胸が痛くなるといった自覚症状がある方は、始められる前に医師に相談されることをおすすめします。
健康のための食事
中高年の方は、おかずが非常に少ない時期を経験していますので、現在でも、ごはんよりおかずの方が重要と認識している方がおられます。しかし、食生活が西洋化して脂肪の摂取比率が多くなり、現在の食事は栄養素のバランスが悪くなってきています。一方では、メタボリックシンドロームを心配するあまり、肉などの摂取を減らす誤った食事制限で低栄養となるケースも、高齢者では心配されています。
脂身の少ない赤身肉など、余分なエネルギー量をカットしつつ、きちんとたんぱく質やミネラルを摂取できるおかずに、十分な量のごはんを組み合わせた食事は、生活習慣病の予防にも高齢者の低栄養の予防にも役立ちます。十分な運動量を確保したうえで、ごはんとおかずのバランスが良い食事を十分量摂取することが健康的な食生活といえるでしょう。